日本の廃山

日本各地の炭鉱・鉱山について記したい

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住友奔別炭鉱 立坑櫓について  




DSCF8664.jpg

奔別砿業所正門より




奔別砿業所の立坑は1960年にドイツGHH社による

技術提携を受け誕生した日本で2番目のH型立坑櫓である。

奔別砿業所は1971年まで深部開発を続け閉山したわけであるが

たった11年しか使用しなかったというのが勿体無い。


この奔別砿業所のようなタイプの立坑をH型と呼ぶが、

初めてのH型立坑は九州の三井田川砿業所に存在した伊加利立坑であった。

しかしながら、伊加利立坑は単式H型立坑であり

奔別砿業所のようにシーブが4つ並んだ状態では無く、

片一方に2つが偏ったものであった。(その分、シーブは大きくすることが可能だった)



伊加利立坑

伊加利立坑




日本に残るH型立坑は住友奔別、住友赤平、三井砂川中央(旧JAMIC)と

建物だけというのであれば茂尻も現存している。







ここで、住友石炭砿業 奔別砿業所の立坑櫓ついてのデータを確認しよう。


立坑櫓 複式H型立坑櫓

立坑櫓の高さ 50.520m

脚部ラーメン(骨格)部の大きさ 12.000×10.000m

ラーメン(骨格)部の高さ18.950m

シーブについて
 
 Lower rope sheve (立坑櫓にあるシーブの2段目に当たるもの)
  地上からシーブ高まで35.700m

 Upper rope sheve (立坑櫓の一段目に当たるシーブ)
  地上からシーブ高まで44.200m

シーブ直径5.500m×4

ガイドフレーム全長(地上部より) 35.700m

ガイドフレームの大きさ 5.685×3.520m

スキップ容量 10㎥ 両懸式

ケージ 4段 両懸式

ロープ 直径54mm 2索

立坑深度
 第1坑底630m
 第2坑底840m
 第3坑底1050m
 第4坑底1260m

立坑直径6.400m

富士電機ケーペ式規格 主電動機定格1540kW/6300V/585rpm

ケージについて

 定員 64人

 ズリ(4段デッキであるが重量制限で3車まで、メインロープ56mm交換で4車予定) 9000kg

 原炭規格(4車) 8000kg

立坑櫓に要した鋼重 450t

スキップ/ケージの運転荷量 73.500kg

ヘッドシーブ(直径5.500m)の重量 13.000kg×4

耐雪荷重 450kg/㎡

風速限界値(補償範囲)60m/h

巻上機形式 二本索ケーペ式/グランドマシーン

巻上速度 12m/s

計画出炭量 年間100万t(炭砿全体数値の為、立坑のみでは無い)



次世代計画による奔別立坑の改良では

メインロープの直径を54mmから56mmに変更。

スキップ容量の拡幅などが存在した。

(メインロープ56mm変更時の破断力は432.00kgである)




さて、この奔別砿業所のH型立坑には日本初のシステムが幾つか導入されている。

複式H型立坑櫓、二本索、ガイドローラーなどがその例である。

三井伊加利立坑は単式H型であったこと。

通常は一本だったロープを更に強化した二本索。

そしてスキップやケージを安全確実に運搬するガイドローラーの設置。

それらの進化などを考慮すれば住友奔別立坑は

日本の炭砿業界の夜明けを象徴する歴史的なモデルプラントであった。




・・・しかしながら、

この立坑に装備されたセーフティーキャッチャーという

ケージやスキップがロープ断線により落下した際に

落下を食い止めるシステムが

誤作動をよく起こし運搬をストップさせていたという話を耳にした


奔別立坑は巻上機を操作する技師のミス(過走)による

ケージやスキップ設備をシーブに直撃するのを防ぐ

バッファーガーダーという機能が搭載されており

それによるロープの断線、ケージやスキップの落下という

最悪の事態を避けるための非常用設備だった。


ちなみに、国会議事録では

どこの炭砿かは分からないが立坑のエレベーター技師が

勤務前にボーナスを支給され、勤務中に使用用途について考えていたところ

ケージを過走させてバッファーガーダーに衝突させたという記述が残されている。







さて、この奔別立坑であるが

巻上機は左右で会社が異なっている。

「奔別」と書かれた立坑櫓を正面にし、

向かって右側がブラウンボベリ。左側が富士電機という仕様である。

スキップ運搬がブラウンボベリ社の巻上機によって操作され、

ケージ運搬が富士電機社の巻上機によって操作されていた。



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